【精子力の低下】今、日本人の精子が危ない！
アダルト動画で女優さんが「うわ～すごい濃い～」「すごい量が出た～」とかよく言っていますけど、見た目で精子が濃そうに見えるからと言って、実際に精子の数が多いかどうかは顕微鏡でのぞかなければわかりません。
そこでまずは、精子について驚くべきデータをみなさんにお見せします。それが「現代人の精子（欧米人対象）」について2017年に発表された調査結果です。その調査結果を最初にお見せして、「日本人男性の精子」について話を進めていくことにしましょう。
【精子の数】日本人男性の精子はどんどん少なくなっている！
≪欧米人男性の精子についての調査≫
欧米人男性の精液を約40年間にわたって調査したところ、精子の数が約６割（精子濃度が約５割）も減少していた。
上記の結果は、欧米人だけを調査対象にしており、アジア人は調査対象にされていませんから、「だったら日本人男性には関係ないことだよね～」なんて考えるのはとんでもないことです！ちゃんと他国と日本を比較したデータもあります。
≪日本と欧州４ヵ国における、精子の数の相対値≫
フィンランド 147
スコットランド 128
フランス 110
デンマーク 104
日本 100
なんと、日本人男性の精子の数が世界的に最低レベルにあることが分かったのです。上記のデータから見ると、フィンランド人男性は、日本人よりも精子の数が約1.5倍も多い、ということです。
当然、精子の数が少なくなると、自然妊娠できる確率が低くなります。（＝男性不妊です。）
多くの男性は不妊の原因が女性にある、と思っていませんか？その考えは大きな間違いです。男女別に不妊の原因をみると、女性側に原因がある場合が約40％、男性側に原因がある場合が約25％、男女ともに原因がある場合が約25％です。
つまり、不妊については「約半分は男性に原因がある」ということなのです。男性不妊に陥らないようにするには、精子の数だけでなく質においても健康的な水準を保つことが必要なのです。
では、どういう精子を「健康な精子」というのでしょうか？次に、精子の「質」について考えていきましょう。
【精子の質】数が多くても元気がなければ意味がない！
2010年にWHO（世界保健機関）が正常な精子の基準を下記の通りに定義しています。
≪WHOが定義する精液検査基準値（2010年）≫
［精子量］ 1.5ml以上
［総精子数］ 3900万/射精 以上
［精子濃度］ 1500万/ml 以上
［運動率］ 40% 以上
［前進運動率］ 32% 以上
［生存率］ 58% 以上
［正常形態率］ 4% 以上
［白血球数］ 100万/ml未満
病院などで受けることができる精液検査にて、上記の基準値をクリアした精子が「健康」だと判断されるわけです。（※あくまでも基準です。基準をクリアしていないからといって妊娠できないわけではありませんし、その日の体調などで射精するたびに精液検査の結果も変わります。）
精子の数が多くても、精子に元気がなく動いていなければ（「運動率」が低いと）、当然子宮までたどり着くことができません。実は、普段何気なく行っている行動や習慣が、知らず知らずに精子の運動率を下げる原因になってしまうことがあります。
例えば、「マスターベーションを控える」「熱いお風呂に入る」「（電車などで）膝にパソコンを置いて使用する」「きつい下着（ブリーフなど）を履く」などの行動・習慣です。つまり、精子の質を高める（下げない）ためには、精子の質を下げてしまう行いを避ける、ということが一番の解決方法なのです。
ここまで記事を読まれた読者の中で、「ふむふむ。精子の数と質が正常ならばOKってことだよね？男性不妊ってことにならないよね？」と思われる方もいるでしょう。実は、精子の数と質に問題がなくとも、精子の「DNA」に問題があった場合、男性不妊になる可能性があるのです！
【精子のDNA】正常に細胞分裂ができるかどうかが重要！
精子が卵子に入り込んだ後（受精後）、精子と卵子のDNAが互いに結合し、細胞分裂を繰り返しながら胚へと成長していきます。しかしながら、もとから精子のDNAが損傷していると、細胞分裂が進まず妊娠が難しくなるのです。
実は、精子の数や運動率が正常であったとしても、一日に何千万、何億と作られる精子において、全てが全て健康というわけでなく、頭部分に損傷を抱えている精子が作られることがあります。この「DNAの損傷を受けた精子」が元気に子宮の中を駆け巡り、卵子に辿りついたところで、細胞分裂が進みませんから何も起こりません。
つまり、精子の数や運動率が基準値以上の方で男性不妊に悩んでいる男性は、この「精子のDNAの損傷」が原因かもしれないのです。この場合も、男性自身のNG行動・習慣や、さらには環境におけるストレスなどが影響してきます。
【自分の精子力が気になる男性へ】まずは自分の精子を調べてもらおう！
男性不妊でお悩みの方、または、自分の精子力が心配な方は、まずは自分の精子がどういう状況にあるか、病院に行って「精液検査」で調べてもらいましょう。対策を立てる前に、まずは自分の精子のことをよく知るべきです。「精液検査」は保険が適用されますので、３割負担（平均的に1000円を少し超えるくらい）で調べてもらえます。
では次回、「健康な精子」を作るためにやるべきこと・やってはいけないことを具体的に説明していこうと思っています。